シンポジウム
【大学における外国語教育の目標設定:CEFR-JとCAN-DOリストの理解と活用】

日時:平成25年3月1日(金) 13:30-17:05(12:30受付開始)
場所:広島大学総合科学部 J棟3階 J307号教室
 

主旨:
  総合的な言語能力発達の枠組みとして開発されたCEFR(The Common European Framework of Reference for Languages,欧州言語共通参照枠)は発祥の欧州にとどまらず,世界中で活用されています。 日本においても,このCEFRに準拠し,日本の英語教育に即した英語到達度指標としてCEFR-Jが発表されました。 CEFR-Jの最大の特徴は,「学習者は何ができるようになるか」を記述した能力記述文(CAN-DO statements)に関して, その妥当性検証が行われていることにあります。 しかしながら,CEFR-Jの内容やその特色については,まだ十分に認識されていない部分もあるかと思います。
  そこで,本研究集会では,CEFR-Jの能力記述文・到達度枠組の構築およびその妥当性検証を行われた 投野由紀夫(東京外国語大学)および長沼君主(東京外国語大学)の2名の先生方を講師にお招きをし, CEFR-Jとは何か,また,小中高大の各レベルでCEFR-Jが具体的にどのように活用できるのか, その際に考えるべき課題は何かといった点を中心にお話をしていただき, 実際の教育現場における活用法などについて議論を交わすことができれば幸いです。

 

「CEFR-J: CAN-DO ベースの新しい英語到達度指標 - その開発と活用」
投野 由紀夫(東京外国語大学 大学院総合国際学研究院 教授)
CEFR-J は CEFR を日本の英語教育に適用するために開発された新しい英語到達度指標である。 CEFR より初級レベルを細分化した12レベル×5技能の計120のCAN-DO ディスクリプタからなり, ディスクリプタの難易度に関しては妥当性検証のための実験を経て Version 1 が2012年3月にリリースされた。 その開発の概要を紹介するとともに,現在,新しい科研で行っている CEFR-J を活用するためのさまざまな資料作りとして,① CEFR-J Wordlist,② CAN-DO Descriptor DB,③ CEFR-J Inventory of English の3つのプロジェクトを紹介する。 さらに,CEFR-J を利用して,CAN-DO から具体的なタスクに展開していくプロセスや注意点に関しても触れたい。
「自律性と自己効力を高めるためのCAN-DOリストを用いた評価」
長沼 君主(東京外国語大学 世界言語社会教育センター 専任講師)
CAN-DOベースの行動指標に基づく言語能力発達枠組みであるCEFRには,もうひとつの重要な仕掛けとして,ELP(European Language Portfolio)の存在がある。こうしたポートフォリオ型の評価は,アメリカでもLinguaFolioとして広がりを見せているが,CEFRの複言語複文化主義と生涯学習の視点に加えて,その背後にある自律学習の理念が受け入れられた結果であろう。 CAN-DOリストを用いた評価を動機づけの視点から議論をし,自律性と自己効力を高める逆向き設計によるタスクデザインについて議論したい。 また,教師自律性と教師の教室内での英語使用についても触れる中で,学習者と教師にとっての両面から,CAN-DOリスト活用の意義を考えたい。

 

スケジュール
13:30-13:40開会の辞
13:40-14:40講演1「CEFR-J: CAN-DO ベースの新しい英語到達度指標 - その開発と活用」投野 由紀夫
14:40-14:55休憩
14:55-15:55講演2「自律性と自己効力を高めるためのCAN-DOリストを用いた評価」長沼 君主
15:55-16:10休憩
16:10-17:00質疑応答,全体討論
17:00閉会の辞
17:05閉会

 

<会場へのアクセス>
 JR西条駅から広島大学行きのバスに乗車し,広大西口バス停で下車。
  広島大学東広島キャンパスへのアクセス:
  https://www.hiroshima-u.ac.jp/access/higashihiroshima