― これまで、いつどのように、どんな言語を学びましたか?

1年次はドイツ語を学び、12月の冬のドイツ語技能検定試験では、3・4級に合格しました。他にも、サークルで合唱をしており、そこでラテン語の曲を歌うこともあるため、ラテン語の入門書を用いて、音声や意味を中心に独学で学びました。
2年次は、トライリンガル養成特定プログラムでドイツ語を学びました。それと並行して、英語プロフェッショナル養成特定プログラムで英語を学び、ベーシック・ロシア語を履修して、ロシア語も学びました。
3年次においても、2つの特定プログラムを通して、引き続きドイツ語と英語を学びました。特に英語が就職活動で必要であったため、IELTSにも挑戦し、7.0のスコアを取りました。
4年生になってからは、英語とドイツ語に触れつつ、日本語教育系コースの専門授業で少数民族の言語や既習の言語について、言語学的な側面から学んでいます。

― どうして複数の言語を学ぼうと思ったのですか?

言語は、その言語を使う文化圏の一般的な性格や特徴を最も反映しているものだと考えています。多様化・国際化の進む情勢で、他人や異文化を理解するには、相手のバックグラウンドを知ることが重要になります。そのようなときに言語は、一種の他者・異文化理解のツールの一つとして有効ではないかと考え、挑戦しました。

― 実際に勉強してみて、どんなことを発見しましたか?

日本語は独特な言語である、一番難しい言語であるといわれることがありますが、日本語と同じ特徴を持った言語が存在していたり(日本語もドイツ語も複合語が作りやすい等)、むしろ日本語は言語全般では普遍的な特徴を持っていたり(日本語の語順の方が英語のような語順よりも全体としては数が多い等)など、様々な言語を学ぶことで、母語である日本語を客観的に見ることができました。何をもって、その言語を難しいとするのか、この答えは容易には見つからないと感じました。

― 森さんは日本語教育を専攻していますが、外国語を学ぶことは専攻科目にとって役立ちましたか?

大いに役立ったと感じています。専門用語で母語干渉というものがあるのですが、学習者が使う日本語が、母語の影響を受けて変化するという現象です。母語を知っていたり、学んだりすることで、どのような母語干渉が起こりやすいかを考えるきっかけとなりました。

オーストラリア ロイヤル国立公園の海食崖

― 海外への渡航経験があれば、それについて教えてください。

1年次の夏季休暇でオーストラリアへ2週間ほど留学に行きました。シドニーで数日間大学に通い、プレゼンテーションの仕方を学びました。また、マーケットに行って値段交渉をするという経験をすることができました。そこで、言語は完璧に話せなくても、案外、相手は自分の意図をくみ取ってくれるのだなと感じました。元々、スピーキングが苦手だったのですが、この経験があったからこそ、外国語を話すという行為に対する壁がなくなり、間違ってもいいからどんどん話す、挑戦するという姿勢が身に付いたと思います。

― 卒業後の進路を教えてください。

防衛省本省で、省内の事務作業や国防関連の法令整備、防衛装備品の輸入・調達など幅広い業務に携わる予定です。

― 進路を決めた理由を教えてください。

日本の将来を守る仕事に直結し、なおかつ、今まで学習してきた言語を用いることができる業務に携われるという点に魅力を感じたからです。国防分野はこれから、ますますホットな領域になってきます。そのような分野で働いてみたいと考え、就職を決めました。

オーストラリア ハイドパーク内にあるセント・メアリー大聖堂

就職活動で上京した際に食べたロシア料理

― 外国語学習は就職活動で役立ちましたか?

役立ったと感じています。様々な言語に挑戦することで、いろいろな視点を得ることに対して柔軟になることができました。その挑戦できる姿勢、柔軟に対応できる姿勢が自分にとっての長所となり、就職活動では、説明会や懇談会、面接などで自分をどんどんアピールすることができました。

― 外国語を学んでいる後輩のみなさんにメッセージをお願いします。

外国語を学ぶことは、初期の段階では難しく、苦痛に感じることもあるかもしれません。しかしながら、将来、過去に頑張った分が思わぬところで自分に返ってくると考えています。私は、就職活動の際に大いに実感しました。現在、皆さんが学んでいる言語が将来自分を助けてくれたり、また、学ぶことを通じて自分を成長させることができたりするかもしれません。言語の学習を通して、皆さんの可能性が大きく広がっていくと信じています。

(2022年11月)

森さんのように2年次以降に「ベーシック・外国語」を履修したい人は、4月の授業が始まる前に「履修申請」を行ってください。履修申請の期間や詳細は、毎年3月末に学生情報の森「もみじ」に掲載されます。