― これまで、いつどのように、どんな言語を学びましたか?

大学入学段階では英語の学習のみでしたが、大学1年生でドイツ語のインテンシブコースでドイツ語を学びました。その後2年の後期から約8か月トルコへ留学し、トルコ語も勉強しました。

トラブゾン(トルコ北東部)のトラブゾン歴史博物館にて友人とスルタン(オスマン帝国時代の王族)の装束で。

― 大智さんはトルコに留学されましたが、留学先にトルコを選んだ理由(や経緯)を教えてください。

私が所属している教育学部日本語教育系では、「外国の方に日本語を教える」ことを主に勉強しているのですが、私はそこから派生して、「生活者としての外国人」や「共生社会」というテーマに興味を持ちました。しかし、日本という外国人が圧倒的にマイノリティな社会では、「理想の共生社会とは」を考えようにも雲をつかむようで、実際に異なる文化を持つ人々が共生している国や地域で共生社会とは何かを体験してみたいという願望が強くなりました。高校の英語の授業で、トルコはさまざまな人種と宗教が同時に存在する国であることを学習したのを思い出し、トルコへ留学することの決意が固まりました。
もちろんそれだけでなく、私が在籍したチャナッカレ大学にも日本語を学ぶコースがあり、実際に教育現場を見ることができること、そもそも「トルコへ行く」という選択肢は未知にあふれていて面白そう!など様々な理由がありましたが、強い動機となったのは最初に書いた「多文化共生の国へ行ってみたい」でした。

― 留学前にトルコ語はどうやって勉強しましたか?

「ニューエクスプレス トルコ語」を購入して勉強しましたが、結局全く時間が足りず、あいさつを勉強した程度での渡航となってしまいました。ただ、日本語教育系の前期集中講義で「言語の比較と対照研究」という授業があり、その内容が日本語とトルコ語の対象研究についてだったので、「ここは日本語とほぼ同じだけど、ここはトルコ語しかない特徴」や「トルコ人がよく使う挨拶的なスラング」など教科書だけでは学べなかった知識を学ぶ機会があり、渡航後も参考になりました。

カッパドキアにて、ラクダに乗りました(有料)。

― 実際にトルコに行ってみて、事前の勉強はどのくらい役にたちましたか?

あいさつ程度しか事前に勉強していなかったため非常に困ることがたくさんありました。海外経験が少なかった私は、「都市部や公共交通機関に携わる人は英語が話せるだろう」と思っており、「生活の言葉は行ってから学べばいいかな」と軽い気持ちで考えていたのですが、まずバス停で言葉が通じない。どのバスに乗ればいいのか分からない。お互いに伝える手段がない。お昼ご飯の注文システムもよく分からないまま身振り手振りで何とか注文する…など、「勉強しておけばよかったーーー!」と感じるシチュエーションが多々ありました。唯一、発音規則は学んでいたので、読みあげ一本のみで頑張りました。勉強していないことに対する後悔はありながらも、同時にトルコ語で挨拶をするだけで「トルコ語話せるの!?」とトルコの人たちが驚いてくれたので、勉強のモチベーションになりました。

― トルコ留学で印象に残ったことを教えてください。

印象に残ったことは、トルコの人たちが非常に温かく私を歓迎してくれたことです。本来は私が日本のお土産等を渡すべきはずの場面で、「トルコに来てくれたことに対する感謝の気持ち」「トルコのことをもっと知ってほしい」などという言葉とともに、プレゼントをくれることが多々ありました。店で買い物すると「どこから来たの?」、少し挨拶をすると「トルコ語うまいね!」と声をかけられることもありました。そのような言動の中には「トルコをいい国だと思ってもらいたい」という気持ちと、私がどうしてトルコに来たのか知りたいという純粋な好奇心が感じられました。個人的な意見となるのですが、日本では「日本人」と「外国人」を意味なく二分していることが多いのではないかと感じます。「この人は日本人じゃない」と判断したら態度が変化したり、「外国人」そのものにステレオタイプが存在したりします。トルコでも(特に私は明らかに「外国人」なので)「外国人だから」という扱いは存在しますが、それよりも、言語のハンデがあっても文化の違いがあっても「日本のことを教えて」「トルコのこういう部分どう思う?」などと面と向かって話をしてくれた人が多かったように思います。

― 留学前と留学後で、外国語学習や大学での勉強に対する考えに変化はありましたか?

留学前は、とにかく「言葉が話せないと」「気が利く世間話ができた方が」など、勝手に自分のハードルを上げて留学に対して若干の恐怖を感じていました。もちろん言語はできるに越したことがないですが、なによりもまず「その国について知りたい」「教えてほしい」という積極的な気持ちと、その気持ちに従って飛び込める度胸が大切だと思うようになりました。そう思うようになったのは、言語を身に着けるよりも、そういう態度や度胸を養う方が私には難しく感じたからかもしれません。再三言われていることだとは思いますが、やはり「英語(やその他言語)は手段であり目的ではない」というのを体感しました。

― 外国語を学んでいる後輩や留学を希望する後輩のみなさんにメッセージをお願いします。

留学に関して、私自身は「現地で一年間過ごす」ことのハードルは想像よりも低いと感じています。それをどれだけ実りある一年間にできるかが非常に大切で、人によっては語学力であったり、積極性であったりが大切になるのではないかと思います。私自身はもっと挑戦すればよかった!と思うことも多かったので、後悔のないように留学先での生活を送ってほしいと思います。
外国語学習に関しては、現在トルコ語をなんとか保持したいと思いながら、なかなか難しいと思っているところなので、あまりいいメッセージは言えないのですが、とにかく一緒に頑張りましょう!!!

ブルーモスクにて友人と。モスク内はヒジャブ(頭に巻く布)をつける必要があり、無料で貸し出しされています

(2024年1月)

本学ではトルコ語を学ぶことはできませんが、アラビア語・ロシア語・韓国語・中国語・フランス語・スペイン語・ドイツ語の7言語を学ぶことができます。「ベーシック・外国語」は2年次以降も履修が可能です。履修を希望する人は、4月の授業が始まる前に「履修申請」を行ってください。履修申請の期間や詳細は、毎年3月末に学生情報の森「もみじ」に掲載されます。