シンポジウム
【初修外国語の教科書 -何をどのように教えているか?-】

日時:平成28年3月4日(金) 13:30-17:15(12:30受付開始)
場所:広島大学総合科学部 J棟3階 J307号教室
  

シンポジウムの概要:
    大学での初修外国語科目は英語科目とは異なり、通常はゼロからのスタートである。 また、ほとんどの学生は、90分の授業を週2コマ、1年間履修するだけである。 それに加え、各言語固有の学習上の「難点」を持つこと、事実上の国際語となりつつある英語とは異なり、言語とその言語圏の文化のつながりが比較的強いこと、学習開始時の学習者年齢が高く、その言語能力と知的欲求の差がより大きいことなど、英語教育とは異なった学習条件も抱えている。 そのため、限られた時間内に効率よく外国語を学ばせるためには、どのような教材を用い、どのように教えるかということがキーとなる。 今回のシンポジウムでは、教科書の執筆者でもある初修外国語担当教員(中国語・フランス語・ドイツ語)が、それぞれの言語の教科書について発表を行う。 また、フロアを交え外国語教育における教科書に関するディスカッションを行う。

「日独ドイツ語教科書の比較 ―文法学習について考える―」
吉満 たか子(広島大学外国語教育研究センター 准教授/ドイツ語)
  ドイツ語学習者の多くは、「動詞や助動詞の人称変化」、「冠詞の格変化」、「形容詞の格変化」など英語の文法には存在しない(より複雑な)文法を理解し、そして習得することに困難を覚える。 しかし文法は、言語学習において決してなおざりにされてはならない項目である。 特に、中等教育においてすでに英語を学習している(ほぼ)成人の学生が短期間でドイツ語を学習する場合、文法が理解できないために学習そのものがうまく行かなくなるケースが散見される一方、文法を理解することでドイツ語のしくみを面白いと感じ、学習の動機づけ強化される学生も多く存在する。 つまり、文法の理解度が学習や言語習得そのものと動機づけを左右すると言っても過言ではない。 本発表では、ドイツと日本それぞれで出版された教科書で、文法がどのように扱われ提示されているのかを比較し、文法学習について考える。
「フランス語の教科書をどう使うか ―体系の理解とアクティビティのはざまで―」
平手 友彦(広島大学大学院総合科学研究科 教授/フランス語)
  初修外国語を日本の大学で学ぶには教科書が必要になる。 教科書によってその言語の「全体像」を理解すると同時に、言語の運用の実際を学ぶ。 フランス語の場合、「全体像」はアルファベや綴り字と発音の関係から始まって接続法までがこれまでの定型であったが、最近の教科書は必ずしもそうなってはいない。 文法事項はどこまで学べば「全体像」を理解したことになるのだろうか。 他方、教科書は言語知識の獲得のためだけにあるものでもない。 言語を習得する訓練が当然必要とされるはずであるが、口や体を動かすアクティビティはどうあるべきであろうか。 ブザンソン大学で今夏開催された「外国語としてのフランス語教授法」Français Langue Étrangère(FLE)の教員研修に参加して、長年のフランス語教授の経験を揺さぶられた発表者が、日仏で出版された教科書を比較しながら再検討する。
「日本人が学ぶ中国語」
荒見 泰史(広島大学大学院総合科学研究科 教授/中国語)
  日本人は小学校から学校教育で漢字を学び始め、字義、書き順、書き方なども含めて少なくとも2000種以上を学んでいる。 また中学校からは漢文に触れる機会も増え、古典的な詩や文を中心に基本的な文構造を学ぶことになっている。 これらはもともと中国の言語を背景にした文字や詩文であるから、現代中国語とも通じるものであることは言うまでもない。 日本人は中国語の表記文字、基礎的文構造に対して知識をかなり持ったうえで中国語を学ぶことになるのである。 つまり、中国語は日本人にとって学びやすい言語と思われるのである。 しかし、一方では日本人にとって中国語の習得は容易ではないともされ、実際に習得できずに挫折する学習者も決して少なくはない。 その原因はどこにあるのか?広島大学の中国語教育では、こうした点に注目しつつ、中国で使用される統一的なシラバスを用いつつもやや異なる独自の教授法を加えて教材を作成し、より日本人にとって効果的な中国語の学習方法を検討中である。 本発表では、そうした教材と教授法の検討の過程について紹介していきたい。

 

スケジュール
13:30-14:45開会あいさつ・イントロダクション
13:45-14:25発表1「日独ドイツ語教科書の比較 ―文法学習について考える―」吉満 たか子
14:25-14:35質疑応答
14:35-14:40休憩
14:40-15:20発表2「フランス語の教科書をどう使うか ―体系の理解とアクティビティのはざまで―」平手 友彦
15:20-15:30質疑応答
15:30-15:35休憩
15:35-16:15発表3「日本人が学ぶ中国語」荒見 泰史
16:15-16:25質疑応答
16:25-16:35休憩
16:30-17:10ディスカッション
17:10-17:15閉会あいさつ

 

<会場へのアクセス – Access>
 JR西条駅から広島大学行きのバスに乗車し,広大西口バス停で下車。
  広島大学東広島キャンパスへのアクセス:
  https://www.hiroshima-u.ac.jp/access/higashihiroshima