― これまでの経歴を教えてください。
広島大学総合科学部を卒業後、2年間の社会人経験を経て、同大学大学院人間社会科学研究科に進学しました。学部生時代から「記憶の継承」、とりわけ「広島における被爆体験をどのように次の世代へと伝えていくのか」という問題に強い関心があり、大学院では博物館における被爆証言映像の効果的な活用方法について研究を行ってきました。
― 梶川さんは学部生時代にドイツ語を学ばれました。ドイツ語を学んでよかったと思ったことはありますか?
実は、私が「記憶の継承」というテーマに関心を持つようになった背景には、ドイツ語を学んでいたことが大きく関係しています。大学2年生の時に約1ヶ月間ドイツに留学する機会があり、その中でホロコーストに関する展示やモニュメントを多く目にしてきました。過去の出来事は時間の経過とともに自然と忘れ去られてしまうものであり、それはドイツにおいても広島においても同様です。直接の体験者から話を聞く機会が少なくなっていく中、どうすれば当時の人々の体験を誰もが「自分ごと」として捉え、後世へと繋いでいくことができるのか。留学をきっかけに、こうした問いをより強く意識するようになりました。言語学習を出発点として、自分の興味関心の幅が大きく広がったという意味で、ドイツ語を第二言語として選んで本当に良かったと感じています。
― 学部を卒業後、一般の企業に就職されましたが、社会人時代にはどんな経験をしましたか?
専門商社の営業事務として、見積書の作成や製品の手配、納期調整といった幅広い業務を担当しました。社会人として働く上で重要なのは、仕事を正確にこなすための知識やスキルだけでなく、周囲と協力しながら物事を進める姿勢や相手を思いやる気持ち、状況に応じた柔軟な対応力など、まさに人間として生きていくための総合的な力です。こうした気づきを得ることができたのは、実際に社会に出て働くという経験を積んできたからこそだと思いますし、学部生時代と比べて、自分自身の価値観や視野も大きく広がったように感じます。
― 大学院で学ぼうと思った理由を教えてください。
学部生時代に取り組んでいた研究を、より実践的な観点から深く考えてみたいという思いがあったからです。大学を卒業後、各地で起こる戦争や紛争のニュースを目の当たりにする中で、「あのまま研究を終えてしまって本当に良かったのだろうか」という考えが常に自分の頭の片隅にあることに気づきました。そうした自問自答を重ねる中で、一度しかない人生なら後悔のない選択をしたいと思い、大学院で改めて学ぶことを決断しました。
― 大学院修了後の進路はどのように決めましたか?
研究や課外活動を通じて多様なフィールドで活躍する方々と交流する中で、自分がこれまで培ってきた経験をどのように社会と結びつけていくのか、ということをより強く意識するようになりました。進路を考える上ではさまざまな選択肢に悩みましたが、自分が「これだ!」と思える道を見つけることができ、最終的に奈良県庁に入庁することになりました。。
― 再び社会人の道を歩まれますが、「大学・大学院で学んだことや経験したことが役に立った!」と思ったことはありますか?
「一度社会に出た上で大学院に進学する」という、あまり前例のない道を自ら歩む決断をしたからこそ、新しいことにも果敢に挑戦してみようという気持ちが以前よりも強く芽生えたように思います。実際、大学院では学芸員資格取得プログラムを受講したり、ボランティアや学内インターンに参加したりと、研究以外の活動にも精力的に取り組んできました。そうした一つ一つの経験が、自分の将来を考える上での重要な判断材料になったと感じています。これからも、まずはチャレンジしてみる前向きな姿勢を大切にしていきたいです。
― 進学しようか、就職しようか迷っている学生にメッセージをお願いします。
人生において何かを決断する際、その選択が本当に正しいのかどうかというのは、正直なところ誰にも分かりません。だからこそ重要なのは、後に振り返った時に「やっぱりこの道を選んで良かった」と思えるよう、努力し続けることなのではないかと私は考えます。
その過程には辛いことや苦しいこともたくさん待ち構えているかもしれません。けれども、それらを乗り越えた先にはきっと、それまで見えなかった新しい景色が広がっているのではないでしょうか。自分の運命を自分で切り開いていける、そんな力強い人間になれるよう、一緒に頑張っていきましょう!
(2026年2月)
本学では、アラビア語・ロシア語・韓国語・中国語・フランス語・スペイン語・ドイツ語の7言語を学ぶことができます。「ベーシック・外国語」は2年次以降も履修が可能です。履修を希望する人は、4月の授業が始まる前に「履修申請」を行ってください。履修申請の期間や詳細は、毎年3月末に学生情報の森「もみじ」に掲載されます。


